概要
タイトル | きみなんか だいきらいさ |
発行 | 1975年 |
対象年齢 | 対象年齢記載なし |
文 | ジャニス・メイ・ユードリー |
絵 | モーリス・センダック |
訳 | こだまともこ |
紙の厚さ | 紙厚:普通 |
本文ページ数 | 29ページ |
本文文字数 | 834文字 |
1ページあたり文字数 | 約58文字/2ページ |
登場人物 | 男の子 |
その他のキーワード | けんか |
よみどころ
共感と激励(けんかをした子供たちへ)
仲が良かったはずの子とけんかをしてつらい思いをしている子供たちに、やさしく寄り添って、励ましてくれる絵本だと思います。
「そうだね。ちょっと前まではあんなに仲良しだったのに、ひどく腹を立てることはあるよね。でもきっと、少し気持ちがおさまったら、また仲よく遊ぶんだよね。だいじょうぶ、すぐにもとどおりになれるからね。」
と絵本が教えてくれているようです。
友情についての問題提起(大人たちへ)
けんかをした時の仲直りの儀式「ごめんなさい」が、この本にはありません。
それなのに、あんなに嫌っていたのに、次の瞬間には仲よく遊んでいます。どうしてでしょうね。
「ごめん」と言わせたいプライドや、「ごめん」と言わなくてはならないという義務感、なかよくしなきゃという世間体などなく、その子と一緒に遊びたいかどうか、ただその気持ちに従っているだけだからでしょうか。もしくは、相手のことを無条件に信頼しているからこそ、言葉やきっかけなどなくてもすぐに元に戻れるのでしょうか。
大人になって、ここまで純粋に向き合い、信頼できる友人を持つことができたらいいなと思います。
やまない雨はない+雨降って地固まる
そこまで象徴的な描き方ではないですが、「ぜっこうだ」と言った別れ際、雨がやんで太陽が見えたら、元どおりの仲よしに戻りました。友達にたいするイライラも、雨と同じで時間が経てばいつか晴れて元に戻るよ、と言われているようです。
と同時に、喧嘩の前は「かさにいれてやった」関係だったのに、雨が止んだから傘もいらない、あげるももらうもない関係に、ひとつ近づいたのかもしれません。
「元に戻った」と先ほどはいいましたが、もしかしたら友情がより一歩進んだのかも、、、なんてのは深読みしすぎですかね。
雑感
1961年にアメリカで出版された、友情物語です。
初めて子供に読み聞かせたときは「なんだか悪口がたくさん並んでいるし、よくわからないうちに仲直りしているし、もやっとするなー」と思ってましたが、何度も子供と一緒に読むうちに、これが、純粋な子供らしさなのかな、と思うようになってきました。
絶交を宣言するためだけに、わざわざ雨の日に傘と長靴とカッパもつけて友達の家に行くなんて、かわいいじゃないですか。
なんだ、なんだかんだ言っているけど、結局ジョンは、終始ジェームズが好きなんじゃないか!と思うと、このジョン君にも親しみを持ってしまいました。
それにしてもこのジェームズ君、通常のシーンではとてもかわいいのに、ネガティブシーンではすごく悪い顔をしていますね…純粋に生きているから現れる子供の二面性を垣間見たようでちょっと怖い。。。
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